10の123乗

ふわりふわり。

猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ



意外にも、この著者の作品を読むのは「博士の愛した数式」以来、二作目でした。
前作では、数学の素晴らしさを。
この作品では、チェスの美しさを。



全体的に、不思議な話。
まるで童話のように現実感がない。
美しいのに、悲しい。
大きくなることは、恐怖でしかない。



久し振りに、チェスをしたくなりました。
小さい頃の思い出、なぜか私の部屋の押入れには立派なチェスがありました。
ルールなんて知らない私は、美しいチェスの駒で自己流に遊ぶことが好きでした。
一番好きだった駒は、白のナイト。
造形が細かくて綺麗だったから。
チェスがゲームだと知って、私は父にせがんで、やり方を教えてもらいました。
しかし、父もよくルールを知らなかったようでした。
それでも、各駒の動き方の法則と大まかなルールを独自に習得し、適当なチェスを楽しんだのでした。
未だに、チェスの正式なルールは知りません。



高校生の頃。
数学の先生は、その日の日付と同じ出席番号の人を指名します。
次に指名するのは、ナイトが移動出来る席に座っている生徒。
クラスの皆は、次は誰が指名されるのかわからない様子でした。
私は、その法則性に気付いていたから、心の準備だけは出来ていました。
少しだけ優越感を覚えた、そんなどうでもいい思い出。