2ヶ月目の浮気

福造は、いつもと違う空気を感じた。
相棒が連れ出してくれるときは、いつもしきりに話し掛けられる。
どこへ行くだとか、何を撮りたいとか。
だが、今日の相棒は変だ。
無口である。
よそよそしく、目を合わそうとしない。
そして、めかし込んでいる。
何かを隠している。



デジタル一眼を首にぶら下げた相棒。
おい、ここは儂の定位置ではなかったのか?
「福造、ごめん」
相棒は逃げるようにして玄関を後にした。



*   *   *   *   *

本日は、友人の結婚式でした。
福造も連れて行こうかと思っていたのですが、荷物になるので留守番させました。
PENでさえ、持っていると若干引かれます。
福造を連れていたら、さらに好奇な目で見られたことでしょう。



結婚式で新郎新婦にカメラを向けることは、お祝いの言葉を言うのと同じ。
だから、たくさん写真を撮ります。
しかし、殆どが自己満足というか、義務というか、ポーズというか。
撮った写真を新郎新婦に見せることは、あまりしませんでした。
プロのカメラマンが素敵な写真をたくさん撮っていますから。
今までは、そう思っていました。



人を撮るようになってから、その考え方は少し変わりました。
数枚でいいから、私にしか撮れない写真が残せたら。
それは、友人という目線でもいいし、カメラマンが逃した一瞬でもいい。



今日も、そう思ってシャッターを切りました。
200枚くらい撮った中で、そういう写真はせいぜい4、5枚といった感じでした。
こんなんじゃ、また福造に怒られそうです。
今度、結婚式に呼ばれたら、福造を連れて行こうと思います。




小さなカメラマン。
綺麗なお姉さんの写真を一生懸命撮っていました。
子どもを撮るのは、やっぱり好きです。

本日の主役。
普通にしてても別嬪さんですが、今日は更に美しさが増しておりました。
モノクロよりもセピアの方が、それが引き立つような気がしました。
ご結婚、おめでとうございます。