暗室初体験

福造は、満足していた。
最近の相棒は、浮気性である。
気付いたら、違うカメラと出掛けたりしている。
しかし、この日は迷わず福造を連れ出した。
いざというときにはこの爺に頼らざるを得ない。
そんな心理は御見通しであって、わざわざ指摘もしない。
そして、悪い気は勿論しないのである。



寒空の下。
黄色い絨毯の上。
福造は、プラスチックの現代っ子とは違う。
寒い日には、とても冷たい。
冷え性の相棒には少々申し訳ない気もする。
でも、相棒は誇らしげに悴んだ指でシャッターを切る。


*   *   *   *   *


東京都写真美術館主催のワークショップで、暗室体験をしました。
薬液に紙を浸して現像する、あれです。
ぼんやりとした原理だとか、知識としては教えてもらっていましたが、聞くとやるのとでは全然違いました。
今回は、デジタル画像をインクジェットプリント出力によって、モノクロネガシートを作成。それを現像するという作業でした。
専門的なことは割愛しますが、奥が深い。
今までの写真に対する考え方とか、180度変わった。
答えの出ない疑問だとか、色々出てきてキャパオーバーになって吐きそうになった。
設備的な問題もあり、自分の家で暗室を作るのは難しい。
でも、貸し暗室でも何でもいいから、少しずつ現像技術も学びたいなと思います。



初めて、自分で現像した写真。
まだまだ下手くそだけど、ちょっと嬉しくて。
何度も見てはニヤニヤしてしまいました。



恵比寿ガーデンプレイスは、すっかりクリスマス。
ウォーリーをさがせ的なセルフポートレイト。



その後、空の色も綺麗だったし、紅葉した銀杏の木を撮りたくなりました。
真っ先に思い付いた神宮外苑
うっかり、原宿に来てしまいました。
かの有名な外苑の銀杏並木って、明治神宮の近くじゃないんですか。
原宿にそんな並木あったっけか、とは思っていたんですよね。
時間に余裕があれば、歩いて向かってもよかったのですが、時間は16時。
そろそろ日が落ちる。
仕方なしに、電車で千駄ヶ谷まで急ぐ。
そして、辿り着いた銀杏並木。
すごい人。

丁度、今週が見頃だそうです。
シャッタースピード遅くして明るめに撮りましたが、その時は結構暗くなりつつありました。
これ以上暗くなると、三脚持って来てないし私の技術じゃ手ぶれする。
ぎりぎりの時間に間に合いました。

噂に聞いていた、黄色い絨毯。

こういう親子を見ると撮りたくなってしまいます。



しかし、寒かった。
動きやすいように薄着で出掛けたのが大失敗。