お願いポートレイト

写真を始めてから3年くらい。
最初は、ふんわりカメラ女子的なモノに憧れていました。
そして、人を写すのが嫌い。
写真に人が入り込むことを善しとしませんでした。
しかし、徐々につまらなくなってきました。
代わり映えのしない写真。
誰でも撮れるであろう被写体。



そして、スナップに興味を抱くようになりました。
元々、カメラ目線の写真は面白くないと思っていました。
人の自然な表情、そこに魅力を感じました。
日々変わる街並みと、刹那の構図。
これは、いくら撮っても飽きない。



そして、最近。
お願いをして、面と向かってポートレイトを撮ることに夢中です。
人を撮ることは、とても楽しい。
スナップは、若干の罪悪感がある。
言い換えれば盗撮みたいなものだから。
しかし、お願いして撮らせてもらった写真には、それがない。



ただ、お願いするときは、とても緊張します。
そして、撮るときも。
だから、モデルさんにもそれが伝わって堅い表情にさせてしまうことも多いです。
自分が緊張し過ぎてピンボケということも日常茶飯事。
でも、楽しくて、嬉しい。



こう考えてみると、私の写真は、どんどん人に近付いています。
人間は面倒臭い、そう思うのは常々ですが。
好きなんでしょうね、人が。



中でも、厄介だと思うのは家族の写真。
家族の写真は、思い入れが強いだけに、正直に写真は写す。
写真を始めてからというものの、友人の結婚式で涙腺が崩壊するのは決まって、新郎新婦の紹介VTRです。
幼少の頃の写真、それを見ると、ご両親の愛情が直に見えて来て。
それに耐えられなくなって泣いてしまいます。
どんなに腕の良い写真家でも、家族が撮った写真に勝る写真は撮れないのではないか、これは私の持論。



今月から、姉夫婦と姪子、甥太郎が転勤で遠くへ行ってしまいました。
これは、ただの集合写真。
撮るよって言って、撮らせてもらった写真。
誰でも撮れるような、カメラ目線の写真。
でも、この写真を撮れるようになるまで色々な葛藤がありました。
私にとっては、とても長い道のりで、特別な表情だと思っています。



関東にいる、最後の記念に。
慣れないブロニカで一発勝負。
自信がなかったけれど、ちゃんと撮れていて、安堵する。
少し大きめにプリントして、額も買って収めてみました。
これを持って、会いに行こう。