さらに「ん」を引けば、世界には何も残らない

今日読み終わりました。


残像に口紅を (中公文庫)
(↑画像がありませんでした)


これはすごい、この人は天才だと思った1冊です。
内容は、文字を1つずつ消して行くという実験的な小説です。
はじめに「あ」が使えなくなり、次に、「ば」が消失し…といった具合です。
それでも、回りくどい言い回しなどして、話は成り立っているのです。
日本語って本当に表現方法がたくさんあるんだと、感じました。
こんな小説書けるのは、絶対日本人だけだと思います。
この話を書いているとき、作者の頭はどう回転していたのだろうか…ただ、感心するばかりです。
編集者もさぞかし大変だったことでしょう。



内容自体は、読んでいて退屈です。
読者を飽きさせまいとする意図は伝わるのですが、最後まで読むのは正直辛かったです。
でも、実験的小説なので、話しの面白さまでは問う必要はないでしょう。
作者の文章力は十分伝わったのですから。
ちなみに、何回か消えたはずの字を使ってしまっているらしいですが、それくらいは大目に見れます。



あと、このタイトルが素敵ですね。
タイトル選手権をしたら上位にランクインすること間違いないです。
どの本でも同じですが、本を読み進めていて、タイトルの由来の場面を見つけた瞬間が好きです。