破顔一笑、崩れっぱなし

久々に来ました、この感覚。

死亡推定時刻 (光文社文庫)

死亡推定時刻 (光文社文庫)

「この感覚」とは何かというと、物凄く面白かったという感覚です。
読み終わった後にも続く興奮、その余韻が長ければ長いほど、その作品は面白いのだと、私は思っています。



この話は、ドラマ化されています。
吉岡秀隆松平健永作博美が出演していました。
ドラマを観たときは、良作だなぁ、と思っただけでした。
一度、映像化された小説を読むことは基本的にないのですが、なぜか「何となく」読みたくなったので手に取りました。
この小説のジャンルはよくわかりませんが、法廷推理小説とでもいうのでしょうか。
もっとも、ドラマ古畑任三郎のように、冒頭で犯人明かしをした上で進んで行くので、推理でもないような気もします。
殺人物も、推理物も、法廷物も、普段なら手には取らないだろう、取っ付き難いジャンルの本だったのでした。



食わず嫌いはするものではありません。
危うく、こんな面白い本を見過ごす所でした。
人情味溢れる優秀な川井弁護士が、次々に被告の冤罪を証明する事実を突き止めて行く様は、見事です。
漢字は違いますが、自分と同じ苗字な所もポイント高いです。
難しいと懸念していた、法廷用語もわかりやすく書かれていて、裁判のしくみもわかってしまうお得な1冊です。



ドラマでは、松平健の待遇に窮したのか、何かと話に絡ませていたようですが、原作では殆ど川井弁護士と被告しか出てきません。
ドラマと違ったことも、良かったです。