コトバの案内板

言った本人は全く意識していないで発した言葉が、心に残る名言と化すことがあります。
ときにその一言が、考え方や生き方を変えることがあります。
今日は、そんな言葉をたくさん聞いて嬉しかったので日記を書きます。



今お世話になっている会社の社長が発した一言。

「くよくよ悩むのは一切辞めて、考えることにした」

社長がこの会社を立ち上げる前の職場にいた頃、大変なストレスに見舞われたそうです。
遂に、胃を壊して医者に行きました。
当時、社長の胃は救いようのない程ボロボロでした。
そしてこの言葉を悟ったのだそうです。
くよくよ悩んでいても何一つ解決した試しがなく、精神衛生上良くない上に、時間の無駄遣いです。
しかし、解決する為にどうするか考えることは別。
人が前に進むときは、よく考えているときだと社長は主張しています。



現在の社長は、ストレスとは無縁に見える程、飄々としています。
多過ぎる仕事を楽しそうにサクサクこなしている姿に尊敬の念を抱かずにはいられません。
人間は弱い生き物です。
良くないと解っていても、くよくよするときはあります。
しかし、そんなときにこの言葉を思い出せれば、少しは悩むのを辞めようという気になれると思うのです。



もう一人の経営者から教えてもらった一言。

「時間が解決してくれる問題なんて、全く大したことではないのに。何でそんなに焦るんですかね?」

数年前のこと、彼女は大雪の中、特急電車で仕事先に向かっていました。
記録的な大雪の日で、運悪く電車は止まってしまい、身動きの出来ない状態に。
周りの乗客は苛立ちが募り、文句を言い合う人や、駅員に詰め寄ったりする人もいたそうです。
彼女も商談に遅れてしまうことの焦りから、苛立ちが隠せませんでした。
そんな状況で、隣に座っていた初老の男性が呟いたこの一言。
話をしてみると、彼は俳句を詠む会か何かの主催者で、彼が会場に到着しないと何も始められないのだそうです。
何十人もの人が彼を待っている状況の中、落ち着き払って放った言葉に、彼女は衝撃を受けたそうです。



やることが多すぎてテンパって我を失ってしまうことが多々あった彼女は、我を失いそうになったときは必ずその言葉を思い出して落ち着きを取り戻すそうです。
また、彼女の母親が亡くなったとき、どうしようもない程落ち込んだそうです。
「悲しみは時間が解決してくれる」とよく言いますが、何年経とうが悲しみは癒えません。
そんなときに、またあの言葉を思い出したそうです。
時間が解決しない悩み、それは自分にとって大した問題なのだと。
そう思った瞬間、この言葉の重みを感じたそうです。



その言葉を聞くのは一瞬です。
その一瞬が、その人にとって一生残る言葉になります。
その言葉を他の人に伝えます。
その人の心にも、言葉が響きます。
その言葉は、こうして人の一生を超える命を得ることもあります。