たとえば悔しさという感情を、笑い飛ばす以外の方法で、乗り越えられる術はないのだろうか

長い電車移動には欠かせない読書。
別に季節は関係ありません。

パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)


前に「パーク・ライフ」という本を読んで以来の吉田修一
その本も面白かったし、彼の作品は結構ドラマや映画化されているので気になっていたのです。



この話は、一癖も二癖もある男女が同居していて、それぞれの語りで進んで行きます。
同居だと何かと気を使いそうなものですが、その辺は絶妙なバランスが保たれています。
同居人が増えても減っても驚かない。
全く関わらない訳でも、近すぎる訳でもない。
そんな距離感でないと、同居って難しいのかもしれません。



面白かったです。
話が進むにつれ、ゆっくり色んなことが見えてきます。
彼等の生活の様子だとか事情だとか、まるで私もリビングに寝転がっているような感覚です。
所々に、印象的な文章が散らばっているし、個性的な若者が出てくる話も好きなので、大いに楽しめました。
実は、この話の根底には、「お気楽な若造たちの生活」以外の意味が込められていると思います。
解説の川上弘美がいうところの「こわい」。
確かに、深く考えると「こわい」作品でもありました。
その辺の解釈は、お任せします。