長い髪が、ぼくの顔に覆いかぶさり、二人だけの世界を作り上げてくれた

これは、これは、凄い本でした。

果てしなき渇き (宝島社文庫)

果てしなき渇き (宝島社文庫)

第三回「このミステリーがすごい」大賞受賞作品です。



正直、何度読むのを放棄しようと思ったことか。
それでも、この本は私を離してくれませんでした。
それならば、一刻も早く読み終えてしまおう。
読み終わってしまえば、次の本が読める、この世界に留まらなくて済むのだから。
もしかしたら、全て読み終わった後には救いが待っているのかもしれない。
寝る間も惜しんで読みました。



すごく面白い作品を読んだ後、私は数日間その作品の余韻に浸ってしまいます。
早く読み終えたかったこの作品は、読んだ後も暗い影が追って来ます。
ある意味、この症状はすごく面白い作品を読んだ後の余韻に似ているとも言えます。



「このミス」選考委員の大森望氏の評があまりにも、読了後の気分だったので紹介します。
「随所に見られる破壊的なエネルギーの過剰な迸りも好ましく、個人的には好きなタイプの作品ではないにも関わらず(こんな小説読みたくないと何度思ったことか)これに最高点をつけた」