アボカド事件

朝起きたら、雨は止んでいましたが、地面は濡れていました。
雨が嫌いな私。
地面が湿っているだけで何もかもやる気が起きません。
とりあえず、今日の予定は「何もしないこと」に決定。



意味もなくベッドの上で寝そべること数時間。
本当に何もしていない、ただ生きてるだけ。
さすがに、それだけではいけないと悟りました。
人間は、何もしていなくてもお腹は減るのです。
昼ご飯に食べる物を考えながら、更に時計の針は進む。
なぜか、サンドイッチを作ろうという気分に。



レタスと玉子は常備してあるので問題なし。
生ハムも昨日買ったやつがあった。
足りないのは、食パン。
しぶしぶ、近所のスーパーへ。



相変わらず、スーパーに行くと余計な物を買い過ぎてしまいます。
給料日直後は尚更です。
そこで、アボカドと目が合いました。
何を隠そう、アボカドは大好物でして。
好きな食べ物ベスト5には入ります。
1個130円、安くても100円。
私には贅沢品なのですが、1週間に1個は買ってしまいます。
生ハムとアボカドのサンドイッチって凄く素敵。
いい具合に熟していそうな子を厳選して連れて帰りました。



早速ゆで玉子を作りつつ、アボカドに包丁を入れます。
「ぐにゅ」
その瞬間、嫌な予感。
見事、中身は腐っていました。
これは食べられる代物ではありません。
仕方ないので、袋に入れたアボカドを持って徒歩3分のスーパーへ。
レジを済ませて15分で半分に割れたアボカドを持って行くっどうなのよ、と自問自答しながら。
帰って早々アボカドを食べようとする人って。
どれだけ好きなんだよ、どれだけ飢えてるんだよ、と思われないかと。
実際事実なので仕方ないのですが。
店員はマニュアル的に謝って新しい子と交換してくれました。



不運なことに、次の子も熟々一歩手前。
「半分位は食べられるかな、自信ないけど」そんな状態。
流石に二回も取替えに行くのは恥ずかしい、というか二度とあの店でアボカドは買わない。
アボカドを選定するのには自信があっただけにショックな出来事でした。



長い前置きでしたが、私はあまり怒りを表に出さない人です。
不快に思うことは多々ありますが、結構な割合で自己解決して消化してしまいます。
怒るって、すごくエネルギーを使うと思うのです。
相手にも、何より自分自身に対して後味の悪い思いをしてしまうから。
ときどき、癇癪持ちの人を目にしますが、他人事ながら「あの人、あんなに怒って疲れないのかしら」と不思議に思っています。
傍から見たら、怒鳴り散らしている人ってかなり恥ずかしいのに。
平謝りされて気分が静まるのか、言うことによってストレス発散しているのか、極度のサディストなのか、自分が強いと示したいのか。
ミスをした、あるいは無礼な相手を怒鳴り散らした所で、相手のした粗相は変わらない訳で。
相手の為を思っての叱咤なら別です。
しかし、大半はどう考えても自分の怒りが収まらないからぶつけているだけのような気がします。



今回も、私は「ここで怒っては130円以上のエネルギーを消費してしまう」と判断。
一歩手前のアボカド半分を使ってサンドイッチを作って昼食としました。
十分熟成されたアボカドは、とても美味でした。
とても幸せ。
怒りは安売りしない癖に、自分の幸せは安っぽいと感じたのでした。