可能性という言葉を無限定に使ってはいけない
ようこそ、森見ワールドへ。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: 文庫
- 購入: 71人 クリック: 983回
- この商品を含むブログ (562件) を見る
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)でどっぷりこの世界を堪能しましたが、今回もどっぷりでした。
この作品は、著者お得意芸のヘタレ大学生モノです。
感じは、「夜は短し〜」と同じです。
随所でリンクしていて、あの樋口師匠と羽貫さんにまた会えたことが嬉しかったです。
この話は4話から成り立ちます。
主人公が人生の転機だと思われた一瞬を4パターン。
特に努力をすることもなく、このどうしようもない現実は人のせいにして。
小説の主人公にしては、あまりにもヘタレ過ぎます。
しかし、嫌悪感を抱かないのは、誰しもこんな一面があるからではないでしょうか。
4パターンの人生を垣間見ましたが、個人的には第二話が好きです。
この著者の擬音表現が堪らなく好きです。
「もちぐま」欲しい。
さて、この本を読んで思ったこと。
「あのとき、こうしていれば」と後悔することは無駄だということ。
仮に、こうしたとしても、大して人生は現状と変わっていないと思います。
人生は、小さな選択の積み重ねであって、一つや二つ違う選択をしても、同じ結果になると思うのです。
「あの時代に戻れれば」そう思っている人にはっきりと言いましょう。
戻っても結果は同じです。
万が一、戻れたとしても、未来の記憶も一緒に着いて来る訳ではありません。
そうしたら、同じことを繰り返すのが関の山というやつです。
もし、そう思わずにいられない人がいたら、今すぐ鏡を見て下さい。
「ここに映るあなたは、5年後からやって来たのです。今から思う存分、やり直してください。」
そこでどう思うかで、5年後に後悔するかしないかに分かれるのではないでしょうか。
もしくは、「現在の記憶を持ったまま、あの時代に戻りたい」と更に一言加えて後悔するべきです。