一日工場長

予想した通り、先週は館林に出向となりました。
今度は大丈夫と自信を持って、納品二度目の挑戦。
入れ方も、許せる範囲で改善されています。
偽物フィルターマスクもない様子。
ひと安心だと思いきや、新たな問題が。
およそ半数が、薄っぺらい。
確かに、メルトブローは使われていましたが、明らかに薄い。
マスクを装着したら、唇透けてます。
こんな代物では、ウイルス通過し放題です。
それを知った仕入先も怒って中国の工場に文句を言ったところ、「たくさんマスクあるんだもん。色んなフィルターあって当然でしょ」と開き直られたそうです。
まさか、そんな紛い商品を売る訳にもいかず。
その結果、館林です。



通常ならば、仕事でも遠出は好きです。
しかし、今回ばかりは気が重い。
どんなバイトの人がいるのか、素直な人たちならいいな。
そもそも日本語通じますよね、という不安も過ぎり。
とりあえず、私の任務は「検品方法の伝授」「納期が迫った分の出荷を見届ける」この二つです。



緊張の面持ちで、お世話になるバイトの方々とご対面。
殆どが、小学生くらいの子供がいる主婦の方々でした。
20名も、どこから集めたんだろうかと疑問に思います。
多少のお喋りは大目に見て、なかなか従順な仕事っぷりで助かりました。
マスクを瞬時に可か否かに仕分けしまくります。
なんだか、ヒヨコ鑑定士になった気分です。
それにしても、酷い。
6割以上が不良品です。
何でマスクの中に虫が練りこまれているんだか。



出荷まで時間がない。
9時から13時半まで。
10分の休憩のみで黙々と作業させてしまいました。
心底疲れた視線がとても痛かったです。
「休みもロクにないなんて話、聞いてないんですけどぉ」みたいな顔するのやめて下さい。
私なんかタダ働きの上に、朝の5時に家出て、あなたたちと一緒に休みなしで作業してるんですけど。
後半は満身創痍で作業しました。
そして、無事に商品を積んだトラックを見送ることが出来たのでした。



まだまだ受注残と要鑑定マスクがたくさんあります。
当分、マスク騒動は収まりそうもありません。
お陰様で、100回くらい取引先に頭下げました。
「え、えぇ、ハイ。申し訳ございません。国内には入って来てるんですけど、検品に時間がかかっておりまして。はぁ、そうですよね、急いでますよね、すみません。検品終わった商品から順次出荷してますんで、もうしばらくお待ち下さい。出荷の目処がついたら、はい、勿論です、必ず直ぐにご一報を入れます。仕入れ先には急ぐように申し入れはしてますんで。よろしくお願いします。」
こんな会話を何回も。
まさか、偽物掴まされて、一枚一枚自ら検品しているなんて言える訳がない。
毎晩、夢にマスクが出てきてうなされています。