人にやさしく

悪党たちは千里を走る (集英社文庫)

悪党たちは千里を走る (集英社文庫)

以前に読んだ「慟哭 (創元推理文庫)」は、微妙だったのですが、これは当たりでした。
憎めない悪党、この手の作品は大好きです。
法律的には犯罪者だけれど、人情に厚く、貧民には迷惑をかけない悪党。
伊坂幸太郎も、こんな悪党物をよく書くから好き。



この作品では、あっと驚くどんでん返しはありませんが、普通に楽しめます。
しかし、悪党を自称する主人公、どう考えても将来が心配。
どう考えても、一攫千金は難しいし、このままでは生活すら出来ません。
早く全うな人生を歩んでもらいたいと思います。



シリーズ二冊目。

借金取りの王子: 君たちに明日はない2 (新潮文庫)

借金取りの王子: 君たちに明日はない2 (新潮文庫)



やっぱり、このシリーズは面白い。
基本、話の主人公は仕事が出来る人物、もしくは頑張っている人物。
「会社、クビになるかも」
そう思って初めて考える自分の現状と、未来。
仕事が全て?今の会社が最高の場所?このままでいいの?
その葛藤と、前向きに思わせる結末が小気味良い。
どうしても、自分と重ねてしまう所も良いと思う。
改めて、仕事って何だろうと思ってしまいます。



特に、「二億円の女」は好きでした。
意外と、会社を辞める動機って「きっかけ」なのかも。
他と比べたこととかないから何とも言えませんが、以前の職場って、俗に言う「ブラック会社」だったのかもしれないと思います。
何にも知識がない新入社員として放り込まれたから、目の前のことを処理するだけで精一杯だったけれど。
無知は無敵。
おかげさまで逞しくなってしまいました。
あと数日で社会人デビューする方々にも、存分苦労して、そうなってもらいたいと願います。