その世代で言うところの「愛してる」

そのとき、私はミスドで3杯目のカフェオレを啜っていました。
我慢、我慢、ここは公共の場である。
しかし、気合虚しく我が瞳の堤防は決壊したのでした。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

最近たくさんの本を読んでいますが、これは突出して夢中になって読みました。
特攻で戦死したということしか知らない、実の祖父。
その祖父は一体どういう人間だったのか。
祖父を知る戦友から話を聞いていくうちに明らかになる真実。



基本的に、戦争の話は苦手です。
かなり重い物がのしかかります、精神的に。
それでも、この小説からは目を逸らすことが出来ませんでした。
神風特攻隊と言えば、歴史の教科書では一行くらい触れられていただけ。
先生の掻い摘んだ話と、あとはテレビとか映画で、何となくの概要は知っていたつもりです。
この小説での話がどこまで事実なのかということは定かではありませんが、的外れではないはず。
もっと、私は戦争のことを学習するべきなのかな、と思ってしまいました。
この小説で戦争を語る登場人物たち。
その回想で出てくる戦士たちの殆どは、今の私よりも年下。
それは、紛れも無い事実。
胸が締め付けられました。



興奮したり、悲しくなったり、やるせなかったり、胸が熱くなったり、怒りや疑問や、色々な感情が押し寄せて来ました。
終盤は、ボロボロ泣きながら読んでいました。
あれは反則です。
個人差があるから、自分が面白いと思った本を他人が面白いと思うとは限りません。
しかし、これは読んで損はないと断言します。



余談ですが、私の祖父母は全員他界しています。
今にして思えば、戦争の話を聞いてみたかったと思います。
一回だけ、祖父の話を聞いたことがありました。
それは、正月に親戚一同が田舎で過ごしていたとき。
私は小学校低学年くらいだったでしょうか。
何のきっかけか憶えていませんが祖父がぽつりと話しました。
「戦争中は、食べる物がなくて、ジャングルの中で芋虫とかも食べたよ」
当時、戦争なんて殆ど知らなかった私。
ただ、「ぎゃー」と言って非難したのを憶えています。
そして、近くにいた母に「おじいちゃんて、芋虫食べたことあるんだって」と言った。
そうしたら、厳しい顔をした母に「全然恥ずかしい話じゃないの」と窘められて、子どもながらに何かの事情を察したのでした。
祖父が戦時中、どこに赴任していたのかも、どんなことをしたのかも、全く知りません。
祖父は、よく夜中にうなされていました。
とても、痛々しい悲鳴でした。
私が知るのは、それだけ。
それでも、祖父は生きて帰ってきた。
そして、母がいて、私がいる。
ありがとう、心の中で呟きました。