くるくる笑顔 - コトバノムシ

福造は、傷付いた。
目の前の赤子が、彼を見るなり大泣きしたのだ。
せっかく、普段は登場しないポートレイト用の８０mmレンズを装着しているというのに。

戸惑っているうちに、母親から「早く、カメラ隠して」と宣告されてしまう。
「お前の姉は、年配者を敬う気持ちはないのか」と相棒に訴える。
相棒は、困り果てた表情だ。
そして、こう言い放つ。
「ごめんよ。明日公園散歩に連れてくから、今日は堪忍しておくれ」
若造の癖に、取引きを持ちかけるとは生意気な。
明日、寝坊したら里帰りしてやる。
そう心に固く誓った福造であった。

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今日は、姪子の初お雛様ということで。
専属カメラマンとして、この行事は外せません。
姪子と会うのは久し振りで、心も弾みます。
お土産に、バーバリーの涎掛けを買ってしまう叔母馬鹿っぷり。
福造のレンズも、いつもと違う８０mmで、気合十分。

しかし、福造の黒々とした大きなレンズを怖がり、姪子まさかのギャン泣き。
「ようやく静かになったと思ったのに」
育児に疲れ果てた姉と、姪子が生き甲斐となっている母から撤退命令が。
仕方ないので、爺さんには寝ててもらうことに。

子どもの成長は、早いですね。
前に会ったときよりも、随分と重くなっていました。
よく笑うようにもなったし。
くるくるの天然パーマもご愛嬌。