ていねいな言葉でものを言うようになっていた

映画で感銘を受けた後に、この本を手に取る。

BUNGO 文豪短篇傑作選 (角川文庫)

BUNGO 文豪短篇傑作選 (角川文庫)

今では、アンソロジー的な短編集はよく目にする。
私は、短編が上手い作家が大好き。
例外なく、短編で引き込むことの出来る作家の長編は面白い。
制限された世界に、無限に広がる創造性。
それを表現出来ることが、とても凄いと思う。
だから、新しい著者を発掘する意味合いで、短編アンソロジーを購入したりします。
でも、この時代の文学でっていうのは新鮮。
映画を観なかったら、手に取ることもなかったのかも。
良い本に巡りあえた、それも縁だったりしますよね。



昔の文章は、とてもキレイ。
惚れ惚れする。
こういう趣旨の本がもっと出ればいいのに。
そうすれば、敷居が高いと思っていた時代に触れられる。



先に映像を観てしまったからか。
そっちの方が印象が強かったというのが本音。
それだけ、映画は気に入っていたのです。
でも、「鮨」は読んでも「これは良い」という印象が揺るがなかった。
これ読んだら、絶対お寿司を食べたくなる。
趣旨は違うけれど、江戸前鮨とか食べたくなるから、絶対。



この本で、一番ワクワクしたのは太宰治の「グッド・バイ」。
正直、太宰治は、好きではなかった。
でも、これは面白い。
なのに、未完成。
滅茶苦茶、結末が気になる。
でも、それは叶わない。
なんて罪作りな男。
これを読んだとき、伊坂幸太郎の「バイバイ、ブラックバード」が頭に浮かんだけれど、それは間違いじゃなかったのね。



ピース (中公文庫)

ピース (中公文庫)

本屋のPOPで読もうと思いました。
確かに、この表紙の意味が解ったらぞっとしました。
でも、このモヤモヤ感。



伏線放置、これは如何な物かと。
「これは、読み手の想像にお任せしますよ」
そういうのも、良いと思っているのですが。
この作品では、「回収しなさ過ぎでしょ」。
と思ってしまいました。
そこを問い詰めたいけれど、ネタバレ甚だしくなってしますので、自粛。