ニューヨーカー

気付いたら4月。
電車には、新入社員の群れがいる。
毎年思いますが、「あ、新入社員だ」と、何でわかってしまうのだろう。
着なれない新品のリクルートスーツ。
不安やら期待やら、色々入り混じった表情。



何がどうしてこうなったのか。
先日、新人研修の講師をすることになりました。
大阪にある取引先で、結構な優良企業。
社長に「いや〜、是非ともねじまきさんに新人教育をお任せしたい」とお酒の席で言われました。
「あっは〜、私、こう見えても厳しいっすよ。新人さん辞めさせちゃったらどうしよう〜。」などとのたまわっていた数か月前。
社長のキープしていた焼酎ボトルを空っぽにした頃でしょうか。
4月に入って、「あ、ねじまきさん。ウチに新人入れたんで、勉強会よろしく」と電話が。
テンパった私は、「あ、はい。心して承りますです、はい。」本当にそう言っていた。
大阪出張決定。



私は、新入社員とは無縁の社会人ライフを送って来ました。
よって、何をどうしたらいいか解りません。
気付けば、新卒の社員なんて10歳も下。
どうすればいいのやら。
言葉とか、通じるかしら。
私に下された使命は、「老人施設の感染症対策」の講義。
今後、我が社の商品を新入社員たちに販売してもらう為です。
大事な新入社員を任せてもらえるということは、私を認めてもらえているということ。
実は、かなり嬉しかったりして。



前日まで、バタバタ準備して。
新入社員よりも緊張して降り立った大阪。
深々と挨拶してきた新入社員の二人。
男の子と女の子。
社会人になって1週間、慣れない環境に戸惑ってガチガチ。
そして、垢抜けないスーツ姿。



思い出す、私がその状況だった頃。
だから、少しでも緊張と不安を取り除いてあげたいと思いました。
私は、出来ない人間だから。
出来ない人の気持ちだけはよく解る。
だから、最低限の講義と雑談という形式に。
私のヘタレ営業話を披露したら、打ち解けてもらえました。
話を聞いたら、女の子は「何社も落とされて、自信も失っていて。そんな中で最後に採用してもらったのがこの会社」と言っていた。
私と同じだ。
多分、この子も営業職が希望じゃなかったんだろうな。
でも、話をしていてすごく良い子だと感じました。
この子の為なら、力になってあげたいなと思ってしまいました。
これって、営業として最大の強みです。
本人は、気付いていないだろうけど。
さすが、社長。見る目がある。
この子は、就職活動で苦労したから、辛くてもすぐに辞めたりしない。
同じ経験をした私が言うんだ、間違いない。
そして、この会社は業界で超優良企業。
本人はそんなこと理解していないだろうけど、相当運が良いと思う。
正直、羨ましいくらい。



この先、新人教育なんて縁がないと思っていましたが、貴重な体験が出来ました。
社長さん、ありがとうございます。
私が新入社員だった頃、同じ女性の営業だった先輩が着ていたNEWYORKERのスーツ。
今は、私も着ています。
高いけど、着心地が良いし気が引き締まる。
ちゃんと着こなせているか、心配ですが。