人生山あり他にあり

高校1年のときの担任は、体育教師でした。
石原良純みたいな濃い顔で、やたらと暑苦しい人です。
言うこともクサくてキレイごとばかりで、この人のクラスにはなりたくないランキング1位でした。
私は、運動音痴で体育の授業が何よりも憂鬱だったので、体育教師という時点で、既に好きではありませんでした。
その担任の保健体育の授業はこっちが恥ずかしくなる程真っ赤になるので、みんな笑いを堪えるのに必死でした。



そんな担任ですが、ある言葉の話だけは、感心しました。
HRのときに、黒板に大きく「人間万事塞翁馬」と書きました。
故事成語の「塞翁が馬」の造語だと思います。



担任独自の解説をするならば、人にはバイオリズムがあり、よいこと、悪いことの波があります。
あるとき、「本当に無理。もうダメだ」と思うくらい辛い状況に陥ったとしましょう。
そのときは、波グラフの一番下に位置しているわけです。
なので、あとは上るだけなんです。
だから、ここで辞めるのは勿体ない、という話です。



それを聞いたときは、とても納得しました。
酷くネガティブ思考である私には、衝撃的な新説でした。
今が逃げ出したい程辛いのなら、明日からは、今よりもマシな状況になるのです。
私は窮地に立たされたとき、いつもその言葉を思い出します。



明日はきっと、今日より良い日。