宅八郎な思い出

私は学校というものに16年通いました。
その間、色々な教師がいたわけです。
今となっては、教師が生徒を叩こうものなら、体罰だとか煩く言われます。
世の中はどんどん変わっています。
私がまだ小中学校の頃は、普通に叩かれたり、廊下に立たされたりしてました。



数多く出会った教師の中でも、一番印象に残っているのが、小学校3,4年のときの担任です。
I先生という男性の先生。
長髪で、大きな眼鏡をしていて、細くて背が高い、カマキリみたいなイメージでした。
宅八郎にそっくりでもありました。
すごいヘビースモーカーで、銀杏が好物、みんなに臭いと言われていました。
風貌からしてただならぬ教師なのですが、その言動たるや否や、凄まじかったです。



授業1.戦争教育
まだ小学校3年生だと、戦争についてピンと来ないお年頃です。
戦争を知らない子どもたちです。
I先生は「世界で起こった事実ははっきりと知るべきだ」との考えで、全くの事実を伝えようとしてくれました。
いきなり、授業中ビデオを見ることに。
何も知らされていない私たちは授業でなくビデオ鑑賞になったので喜びました。
しかし、その映像というのは、目を覆いたくなるような物でした。
飛行機からどんどん爆弾が落とされて、目の前で人が撃たれて、生きた人が穴に埋められて燃やされて…。
多くの生徒は直視できず、生徒の半数は泣いて、軽く地獄絵図でした。
先生、「目を伏せずに事実を見なさい」と叫んでいました。
今思うと、あの映像は18禁レベルだったのではないかと。
あれを越える生々しい戦時中の映像は未だ観たことありません。
おかげで、私は空をヘリコプターや飛行機が通る度、「戦争が始まる!!」と恐怖を感じるトラウマが今でも消えません。



授業2.学級裁判
クラスに一人はいる暴れん坊。
このクラスにもいました。
みんな、ちょっと困っていました。
そこで、I先生、裁判始めました。
机を円形に並べて真ん中に机を2つ。
その暴れん坊は真ん中の机に。被疑者です。
そして、先生は裁判官。
皆は周りを囲んだ席に座り傍聴しています。
もう一つの机に証言者が彼の罪を訴えます。
「○○君が何もしていないのに殴ってきます」
「○○君に消しゴムを取られました」などなど。
もちろん、暴れん坊は号泣。
先生、一言「ハイ、有罪ね」
彼はみんなの前で謝罪させられていました。
よくもまぁ、彼の親に訴えられなかったな、と思います。
今そんなことしたら、普通にテレビ沙汰になりかねないのではないでしょうか。



授業3.巻き戻しビデオ
I先生は写真とビデオが大好き。
みんなも喜んでいます。
給食中も、ビデオカメラで撮影。
みんなこぞって映りたがります。
そして、昼休みに観賞。
みんな、「あ、自分映ってる〜」と楽しげです。
すると、I先生、巻き戻ししました。
給食のときですから、みんな物を食べている光景が映っているのです。
巻き戻しをすると、口から食べ物が出てくる、吐いているような、なんともグロテスクな映像が。
先生、大笑い。
確かに面白かったのですが、思春期の女の子には少し酷でした。



その他にも、様々な奇想天外な授業がありました。
そんな破天荒な先生は、みんなの人気者。
私も大好きでした。
今そんな先生がいたら、教育委員会に訴えられるんだろうな、と思いました。
まだI先生は教師を続けているのでしょうか。
私が小額5年生のときに異動してしまったので、その後は知りません。