わかるだろ。完璧な春がきたのさ。

エログロ満載の山田風太郎の後には、穏やかな作品を。
ということで選んだのがこの作品です。

トリツカレ男

トリツカレ男

この著者の作品を読むのは久し振りです。



柔らかで親しみやすい文体と、ほんわかしたストーリー。
癒し系話です。
不思議だけれど違和感がなくて、とてつもなく優しい話を書く人だと思います。
以前読んだのが、ぶらんこ乗り (新潮文庫)という作品だったのですが、これもお勧めです。
コトバがとても素敵です。
ぶらんこ乗り (新潮文庫)でいえば、お父さんがお母さんにプレゼントした物に刻んだメッセージが最高です。
心の温度が0.5℃上昇しました。



さて、この本ですが、文字が大きい上に、薄いのであっという間に読み終わってしまいました。
これは、熱中すると、とことんその物にトリツカレてしまう男の人の、童話のような、愛しい恋の話です。
舞台はイタリアあたりを連想させる外国。
絵本にしてもいいような感じです。
個人的に、オノ・ナツメに漫画を描いて欲しいような世界です。
この作品は大当たりでした。
切なくて暖かい、読み終えた後にはニッコリです。
ジュゼッペ(トリツカレ男)の一途さと、痛々しいまでの思いやり。
そして、彼を暖かく見守る人々。
これは良い買い物しました。



十分癒されたので、また次の本を仕入れに行きました。
手に取ったのはどれも「上下」「上中下」の長編ばかりが気になってしまい購入。
次のレビューまでには時間がかかりそうです。