留守番伝和

私の父は青森県出身です。
中学生までは、1年おきに訪れていました。
しかし、歳を重ねるにつれ、足は遠のきました。
私が最後に訪れたのは、高校2年生のときだったと思います。



去年、姉が結婚しましたが、青森にいる祖母は体調が思わしくなく、結婚式に来ることが出来ませんでした。
挨拶を兼ねて、姉夫婦と父母は青森へ出掛けて行きました。
私は、仕事を休めるはずもなく、愛犬の凛のお守りを押し付けられる羽目になりました。
仕事などで、殆ど家を空けていたので、犬は放置していました。
外出中、凛はゲージの中に入れておくのですが、長時間入れられるのはストレスが溜まるようです。
帰って開放したところ、狂ったように家中を走り回っていました。
私は、知らん顔して発泡酒を啜っていました。
室内ランニングがひと段落した後、暑いのにも関わらず膝の上から離れませんでした。
相当寂しかったようです。



今日、父と母が帰宅しました。
お土産は乾物と、大好物の「ねぶた漬け」。
知る人ぞ知る「ねぶた漬け」とは、納豆に匹敵する程御飯によく合う食べ物です。
そして、300枚近いデジカメ写真を見ました。
口数少ない父は退屈だったようで、頻繁にシャッターを押していたらしいです。
今は「ねぶた祭り」の時期です。
あの熱狂的な夏の祭典は、行かないと味わえません。
ねぶたと跳人(はねと)の迫力は、本当にすごいです。
小さい頃は、跳人が付けている鈴をよく拾ったものです。
20代のうちに、ねぶた祭りに行きたい、跳人になりたいと思いました。
懐かしい情景を思い出した熱帯夜でした。



余談ですが、祖母はもうすぐ100歳です。
身体は弱くなっているものの、まだ自宅で過ごしています。
自宅内では歩行器、外出時は車椅子の生活です。


ねじ「どんな車椅子乗ってた?レンタルかな?」
母「面白い車椅子に乗ってたわねぇ。自転車のベルが付いていたわよ。あんなもの使うのかしら」
父「誰が付けたんだろうね」
ねじ「・・・もしかして、足踏みブレーキが付いてた?ベルは黒くて、紫のプラスチックで固定されてたりする?柄は地味なチェック?」
父「そうそう、そんなやつだった」
ねじ「あぁ、8割方ウチの会社の商品だ。あのベルは標準装備だよ…」


そんな偶然がありました。