友達は人間に対する最高の尊称

ふと、この著者の作品が読みたくなりました。

格闘する者に○ (新潮文庫)

格闘する者に○ (新潮文庫)

この著者の作品は短編集でいくつか読んだことがあって、前々から気になっていたのです。
この予感は的中しました。
私の波長にとても良く合います。
主人公の少し翁じみた物言いや考え方だとか、思わず共感してしまう毒舌っぷりが最高です。



この話は、就職活動を軸に展開しています。
数年前、私が就職活動をしていたときを思い出します。
主人公は、「平服でお越しください」という一文をそのまま解釈し、私服で説明会に行き、見事一人浮いてしまったり、「SPI試験」を「スパイ試験」と勘違いしたり、とにかく面白いです。
就職活動末期に味わう疑問や諦めモード、そんな気分に陥ったこともありました。
上っ面は仲良く協力体制を見せつつ腹の底では互いを牽制し合う、集団面接とか、大嫌いでした。
そんなしょっぱい記憶も蘇る、そんな1冊です。