代わりにお願い

読む時間がないという割には早く読み終わってしまいました。

表紙は、ライトノベルっぽいですが。
この著者の作品は二作目です。



ときどき、こう思います。
私の思考が常に文章化して見られればいいのに、と。
日々生活をしている中で、色々なことを思うのです。
その中には、気に入った言い回しがあったり、小説にしたら面白いのではないか、というような場面が多々あります。
しかし、それを文章化しようとするときには、すっかりその言葉は忘れてしまっています。
また、適当に鼻唄を口ずさんでいて、凄い良いフレーズが出来てきたけれど、それを後日再現しようとしても思い出せないこともあります。
多分、その「思い出せない傑作」を具体化出来る人がプロなんだと思います。
何が言いたいかと言うと、私の思考を文章化したときに一番近いのが著者の作風なのです。
もちろん、私には小説を書く器量はないですが、普段考えている思考と似通っているのです。
共感が出来るというか、同じ臭いがするというか、上手く表現できないですけれど。



この小説も、面白かったです。
主人公の職業は、ロマンス小説の翻訳です。
歯の浮くようなロマンス小説の翻訳と、同時進行して彼女の日常も描かれます。
日常で事件がどんどん起きていくうちに、主人公は思いに任せ、その翻訳を自分のしたいように創作していってしまいます。
その翻訳(創作)小説と日常が上手くリンクしていく話です。
とにかく、暴走した翻訳っぷりと、自責の念に苛まれるところが面白いです。



普段は、エッセイを読まないのですが、この著者のエッセイは読んでみたいと感じました。