誕生日だった茶番劇

先日、姉からメールが入りました。
「今度の金・土と実家に帰るよ。で、お母さんが張り切って土曜日仕事休んだみたいよ」
8月25日は、母の誕生日です。
このメールで伝わる姉妹の暗号メッセージ。
「ツベコベ言ワズニオ前モ戻ッテ来イ」
強制帰還命令というやつです。



そんな訳で、実家に帰省しました。
娘たちよりも可愛い愛犬がいるとて、久々の家族全員集合は母にとって嬉しいようです。
朝っぱらから「何時に戻るの?」メールが何回も届きました。
もう少しゆっくり寝かせておくれよ、などとは口が裂けても言えず。
実家最寄の駅で母と待ち合わせ、誕生日プレゼントとして、携帯の機種変をしてあげました。
なぜか、両親の携帯電話料金を支払っています。
今まで受けた恩恵に比べたら、屁でもないです。



家に帰ると、すっかり羽を伸ばした姉と愛犬がゴロゴロ横たわっていました。
数年前の風景に少し和みます。
夕飯は、外食らしいです。
その頃には義兄も合流するとのこと。



ねじまき家は、義兄が大好きです。
「お土産にコレ持って帰ったら?」とか、わざわざエビスビールを用意する母。
私にはいつも発泡酒しか持たせてくれないくせに。
普段は冷静沈着な父も義兄が来るとなると、そわそわしているのがわかります。
しかし、皆揃って不器用なだけなのです。
義兄を迎えた食卓は、何ともぎこちない物になります。
暴走して見当違いなことをしゃべり続ける母。
いつも以上に貝と化す父。
マイペースな姉と義兄。
その微妙な空気に焦る自分。



会話も尽きたところで、私の出番です。
最初のうちにアルコールを注入されて、いい気分に仕上げられた私が能弁になります。
いつも一人だけ酒を飲まされてその場を取り繕う、それが私の役目です。
強制帰還命令の意味、ここにあり。
美味しいお酒と料理が頂けるのなら、私はピエロにでも何でもなります。



晩餐を終えて、帰りの車内で父に指摘されました。
「ねじ、お前は仕事でお酌だとか取り分けとかやってないだろ」
ご名答。
なぜか、男社会に身を置きつつ永遠の下っ端である私ですが、そういった役割は強制されませんでした。
なぜかたくさん飲むと周りが喜んでくれるので、そういう席に収まり続けていました。
目ざとい父にまんまと見破られました。
攻めより守りか、もう少し気配り出来る人になろうと思いました。