いつの日も少年

福造は、赤ん坊を目の前にし、思わず微笑んでしまった。



頼りない相棒が、実家に帰ると云う。
何でも、生まれたばかりの姪っ子を撮りたいのだとか。
この爺で貴重な一瞬を切り取りたいと。
そこまで持ち上げられると、悪い気はしない。



初めて会った相棒の家族。
皆、福造を見て驚いている。
何故、この娘がこんな老いぼれを連れて歩いているのかと。
それには長いいきさつがあるのだが、相棒はそれを語らない。
ただ、誇らしげに福造を構えるだけだ。



福造の目の前には、生まれたばかりの赤子が眠っている。
その可愛らしさに、シャッターを切らずにはいられない。
「おい、相棒。姪を目の前に浮かれて、シャッター速度の設定が適当ではないか?」
そんな福造の言葉を無視し、相棒は愛しい姪っ子を撮る。
出産後、写真を撮られる余裕のなかった相棒の姉と一緒に撮ってやる。
姉も、爺の姿を見て微笑む。



もう一人、爺を見て目を輝かせた人物がいた。
相棒の父親だ。
昔、彼はかなり本格的に写真を撮っていた。
ちょうど、福造のようなフィルムカメラで。
相棒の愛機であるPENには、興味を示さなかったのだが、福造とレンズには魅かれる物があったらしい。
福造も、彼になら安心して使われる。
露出計がなくても、適正な設定で撮ってくれる。
「お前も中々やるのう」褒めてやった。
相棒も、この位までは成長して欲しいものだ。



先週の話です。
姪子が生まれて1ヶ月。
里帰り子育ても終了、ということで会いに行って来たのでした。
この1ヶ月、ねじまき実家では色々大変だったようです。
一番大変だったのは、愛犬。
スターの座を奪われ、毛が抜けるからと邪見にされるという悲惨さ。
姪子を抱っこするだけで、焼餅を焼いて吠える。
そして叱られる。
可哀想に。
私が帰ると、味方が来たとばかりに膝の上から離れない。
赤ちゃん返りしてしまうという。
最近は、姪子が居間に来ると、ゲージの中に引き籠るところまで追い詰められていたらしい。
今後、姪子と仲良くしてくれるのか、不安ではあります。



姪子が義兄の愛車に乗って帰るとき。
近所の子供が見学に。
小さい姪子を見て「わぁ〜、小さい」「私たちもこんなに小さかったのかな」と会話をしているのを聞いて、ほくほくしました。
あなた達も十分に可愛いよ。



姪子が姉の家に帰った後は、母親が大変でした。
淋しくて仕方がないらしい。
確かに、姪子は可愛いですからね。
今後は、母が姉宅へ通うらしいです。
頑張れ、姉。
姪子よりも、母の方が手が掛かるぞ。