蛋白質でできた「いいかげんな」思考体

はじめに言っておきます。
この本は、万人にお勧めは出来ません。
でも、物凄く面白かった。

中古カメラの愉しみ―金属人類学入門 (知恵の森文庫)

中古カメラの愉しみ―金属人類学入門 (知恵の森文庫)

本の背表紙に「中古カメラウイルスに冒されても責任は負いかねます」と書いてある。
この一文は、かなり重要であることが読了後に解る。
つい、「責任を取ってくれ」と訴えたくなる程、ウイルスに冒されました。



この本は、中古カメラに魅せられた著者の熱い随筆です。
私は、まだ中古カメラウイルスの初期症状に留まっていた状態で読んだのですが、それがいけなかった。
病状が急速に悪化。
とにかく、この世界の愉しさを満喫出来る一冊でした。
中古カメラ市の、階段描写は最高。
旅行に持っていくカメラを選ぶときの苦悩、すごく良く解る。
中古カメラウイルスを完治させるべく、カメラ修理に転向したら、ジャンク品にしか目が行かなくなった件には、爆笑。
極め付けはこの文章。


「(実は必要ないのだが)いるぞ、いるぞ、必要だ、買おう、買おうという方にばっかり考えたがる」
「財布が危ない。財布の口はしっかり閉じていても、ぼくの麻酔銃の方がもう安全装置を外してしまって、いつでも発射できる身構えだ。麻酔銃だって限度があるぞ。あまり麻酔銃ばかり打っていると、そのうち麻酔が効かなくなる。」

※麻酔銃=クレジットカード



これは中古カメラに限らず、ですかね。
先日、熱弁した大福と出逢ったときも、この本を読んでいる最中でした。
完全に、ウイルス感染した模様。



カメラを始めた当初は、「デジカメの方が断然上手く撮れるし、それでいいじゃん。」と思っていました。
しかし、福造やフィルムカメラで素敵な写真を撮る人々との出逢いによって、その考え方は変わってきました。
自分で露出を見極めて、ピントを合わせて、それで良い写真が撮れたならそれが自分も納得出来る写真なのではないかと。
最新機械で最良のコンディションを計算されて撮れた写真って、本当に自分の写真と言えるのか。
確かに、デジタル一眼で撮った写真は、すぐにブログにアップ出来たりして便利なので手放せないのは事実。
でも、アナログなカメラで自分だけの写真を撮りたいんです。
単なる中古カメラのコレクターではなくて、「撮る道具」として中古カメラを愛でる著者の想いに共感を覚えます。



中古カメラウイルス患者の野望。
この先欲しいカメラリスト。
1.Olympus 「PEN F」
会社的には色々ありますが、私をこの世界に引きずり込んでくれた功績は大きい。
だから、私はOlympus贔屓。
見た目は大事なのです。

2.6cm四方の真四角写真が撮れるフィルムカメラ
真四角写真、大好き。
ときどきデジタル一眼で撮ったりはしますが、フィルムでも撮ってみたい。
某カメラマンさんのブログで紹介されていた「Pentaconsix TL」という機種が気になります。

3.蛇腹式のカメラ
レトロ感がたまらない。
見た目しか考慮に入れてません。

4.二眼レフのカメラ
同上。
見た目はやっぱり大切なんです。

5.トイカメラ風の写真が撮れるフィルムカメラ
LOMOとかHOLGAみたいな。
上記機種を手に入れれば解決するかも、ですが。

6.PENTAXのレトロカメラ
昔、父親が使っていたらしい。
たくさんあったレンズも売り払ってしまったらしい。
将来的には、それらを再度買い集めて父親と写真撮りたい。
今度、父親と中古カメラ店に行くのも良いかも。



頑張れ、私の麻酔銃。