たからモノ

「あなたの宝物は何ですか」
そう聞かれて、一番に思い浮かぶ物。
私の場合、腕時計。
勿論、福造をはじめとするカメラ達とか、思い出のあの品とか、宝物はたくさんあります。
でも、何故かこれなのです。



GUCCIの腕時計。
それは、姉から貰った物です。
見栄っ張りな姉のことだから絶対本物で、結構高かったと思います。
少ない給料だったのに無理して買って、ずっと身に着けていた。
そんな代物を「あげる」って。
ポイっとくれた。
普段は、ケチなくせに。
その理由。
義兄から、婚約指輪の代わりに新しい腕時計を貰ったから。
その当時、姉とは上手くいってなかったけれど、とても嬉しかった。
「この女性は、幸せになるんだな」と思った。
私にとって、この時計は幸せの象徴というか、お守りみたいな物なのです。



外に出るときに必ず持っていく物、「財布、携帯、腕時計」。
この左手にある重さがないと、どうも落ち着かない。
身体の一部と化している、宝物。



その時計が、年末から様子がおかしかった。
止まったと思えば、気まぐれで動く。
どうやら電池切れではないらしい。
老朽化により、修理が必要とのこと。
費用は、そこそこの腕時計の新品が買えてしまう位の金額。
金欠の身としては、一瞬迷いました。
でも、この時計とまだ一緒にいたかった。
その修理費で、性能の良い時計が買えたとしても、思い入れには変えられない。



昨日、二週間の入院を終えて、手元に戻って来た時計。
近所のメガネ屋さんに修理に出しました。
とても素敵な老夫婦が営む、小さなメガネ屋さん。
あと半年でお店を閉めるという。
閉める前にお客になれて良かった。
そんな感じのお店でした。
それも、一つの縁なのですね。




あなたの宝物は、何ですか。