津軽の地

福造は、固定された。
相棒が三脚を使うらしい。
不本意ながら、手ブレだらけの写真を撮らされている身としては安心である。
今回は、珍しく自然を撮るのだとか。
広角レンズを身に付けた福造に三脚。
相棒も張り切っている。
機材は申し分ないのだ。



奥入瀬は、美しかった。
福造と相棒のテンションも上がる。
最初の1〜2キロは、ことあるごとに止まって写真を撮る。
福造も張り切る。


しかし、半分くらい進んだところで、相棒の表情が曇りはじめた。
どうやら、機材を担ぎながらのウォーキングは三十路過ぎの身体に堪えるらしい。
「この甘ったれプラスチック世代めが」
軟弱な若造を叱咤しつつも、三脚の乗り心地が気に入っている福造であった。



何とか、十和田湖までたどり着いた後。
今度は、夜の街に繰り出すと言う。
お囃子と、独特な格好の人々が跳ね回る。
「ねぶた」なる物が夜を彩る。
街中が活気で溢れていた。
勿論、相棒も興奮してシャッターを押す。
しかし、だ。
夜撮影が苦手な相棒。
更に、跳ね回る人を撮るのは至難の技。
しかも、祭の熱に飲み込まれて、手ブレばかりだ。
このフィルムの現像が上がったら、即説教である。
しかし、密かに福造も写真そっちのけで跳ねていた。
だから、そんなに強くは言わないつもりだ。

*   *   *   *   *

少し早い夏休み。
8月3日から今日まで、青森に行って来ました。
父の実家。
祖母と叔母がのんびり暮らしています。
父が二年に一度帰るので、便乗。
新青森まで開通した新幹線での旅。
噂の「はやぶさ」に乗って、意気揚々と向かう津軽の地。



青森に着くと、独特の香りがします。
駅には、ねぶたのお囃子。
それだけで、心が躍る。
私の大好きな「金魚ねぶた」もお出迎え。

津軽弁訛りの話声と聞くと、癒されます。



この時期に青森ということは、勿論「ねぶた祭り」。

あと、今回は奥入瀬にも行きました。
スナップも面白いけど、自然も撮ってみたい。
三脚も手に入れたことだし、活躍させる絶好の機会です。
幸い、元カメラ小僧の父に指導も仰げるということで。



3日という短い間でしたが、楽しんできました。
何より、祖母の元気な姿を見れて良かったです。
親族の温かな場所から一転、一人暮らしのアパートに帰ると淋しかったり。
写真もたくさん撮ったので、詳しく旅行記を綴ろうかと思います。
あくまで、予定ですけど。