結界の街

福造は、空を仰いだ。
とても天気の良い日のこと。
久し振りの外出であった。



気まぐれで降り立った街。
神輿がいくつも練り歩き、結界で守られた街。
賑やかなようで、とても静かだ。
ずっと昔から、そうしていたように。



相棒も、やや興奮気味にシャッターを切る。
この瞬間を切り取って、ずっと留めておけたらいいのに。
そう言っているみたいだった。
福造に出来ることは、この風景を記憶することだけである。


*     *     *     *     *


ゴールデンウィークです。
直前まで仕事が忙しく、おまけに体調を崩し、一日をやり過ごすので精一杯。
気付いたら連休で、何一つ予定を立てていませんでした。
湘南新宿ラインに乗って終点まで行ってみるかと、ふと思った。
降り立ったのは小田原。



折しも、松原神社例大祭が行われていました。
お囃子が鳴り響き、いくつもの神輿が練り歩く。

そして、街中に張り巡らされた結界。
何だか、異様な雰囲気です。



目的は、「抹香町」(現:浜町二丁目付近)の遊廓跡。

今となっては住宅に埋もれていますが、所々にその名残がありました。


独特な造りの建物が姿を見せる。
よく見ると、窓ガラスの模様とかも面白い。

そして、やはり結界は主張していて。

普段では見られない光景、この日に訪れることが出来て得した気分。



小田原駅の付近でも、古い洋風建築物がちらほら。


シュールな建物も発見。


遠くから聞こえる祭りの喧噪を尻目に、裏道を歩く。


せっかく来たのに小田原城にも寄らず、久々の街歩きを満喫して東京に戻りました。
気付けば、連休はもうおしまいです。