紅葉隊に告ぐ

その日の夜は、祇園の宿坊に泊まります。
今まで泊まった宿坊というのは、いかにもという感じの場所でした。
鍵なし、3畳間とか。
しかし、お世話になった長楽寺の宿坊「遊行庵」は、お寺の近くにある建物で、和室のビジネスホテルみたいな感じでした。

部屋に鍵もかかりますし、ユニットバスもトイレも付いています。
それでも宿坊、写経室もあれば、朝のお勤めにも参加出来ます。
しかも、祇園のど真ん中という好立地。
価格は、他の宿坊と比べて割高ですが、それなら仕方ない。



感じの良い女将さんに出迎えてもらい、早速写経体験。
小さな部屋に小さな仏様がいて、お線香を焚きます。

カセットで、お経を流して心を沈めます。
それから墨を磨って写経開始。
初心者なので、般若心経ではなく十句写経で。
久し振りの毛筆は難しい。
雑念も沸いて来るので振り払うのが大変。



夜は、祇園の街を散策。
雰囲気があって素敵。

奮発して、花見小路通りを少し入ったお店で。
雑念の原因はこれか。

大変、美味でございました。
大人は良いものです。
こんな贅沢出来るのだから。



朝の7時より、希望者はお勤めに参加出来ます。
長楽寺は、平家物語ゆかりのお寺だそうで。
大河ドラマの関連で、松山ケンイチも来たとか。
緑に囲まれて静かな、とても素晴らしい場所です。

境内の中は寒かったけれど、女将さんから頂いたカイロが暖かかった。
椅子に座ってのお勤めなので、正座が苦手な人でも安心。
朝の静粛な空気の中、皆でお経を唱えます。
昨日の写経も祈祷してもらえました。
しかし、写経の最後に書いた願い事まで読まれたのは想定外でした。
願い事を何も考えていなかったので、適当に壮大な事を書いてしまった。
他の宿泊者、笑いこらえてるし。
読経の後は、住職からお寺にまつわるお話を聞かせて頂きました。
貴重な収蔵品も見ることが出来て、とても充実したお勤めでした。
苔と花弁も美しかったです。



宿坊に帰ると、女将さん手作りの朝御飯。
御粥さんです。
本当に美味しい。
特にふろふき大根と、お味噌汁。
お世辞ではなく、こんなに美味しいお味噌汁飲んだことありません。
その感動を女将さんに伝えたところ、心から御礼を言ってもらえて、それにもほっこり。



住職さんと女将さんの人柄は最高。
とても良い宿坊でした。
相部屋や鍵なしの部屋に抵抗がある人でも気軽に利用出来る、宿坊初心者にもお勧めです。
また、あの朝御飯を味わいに行きたいです。
「いらいらするな くよくよするな ぎすぎすするな おおらかに おおらかに」
部屋にある、歴代宿泊者が書いたノートに記してありました。
良い言葉ですね。