パトスキーの虐殺

私の性格は非常に飽きっぽいです。
仕事も、中々モチベーションを維持出来ません。
そんな日はサボるに限ります。
サボっているときは、時間を潰すのが大変です。
そんなときに、本はとても役に立ちます。

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

この本を買っているときのテーマは「リピート」でした。
5冊ほど、お気に入りの作家が書いた本を購入したのでした。
最近の読書ペースを考えると、ページ数が多くても行けるだろうと踏んで、2センチ以上厚さがある作品ばかり買い占めました。



その第一弾が伊坂幸太郎です。
「この著者の作品にハズレなし」と思っている割には、これが4作品目です。
いつでも面白い作品が手に入るという安心感からか、買うのを後回しにしている傾向があったようです。



やはり、この作品も面白かったです。
実際は有り得ないけれど、あってもいいような気にさせられる際どい設定が素敵です。
100年以上鎖国を続ける島が舞台で、未来を知っている喋るカカシがいたり、突拍子もない設定です。
しかし、読み進めるうちに違和感が消えていきます。



中だるみ感を少し感じましたが、ラストスパートが凄かったです。
バラバラだったパーツがラストに向けて次々繋がって行く様は、見事としか言いようがありません。
その辺りは、この著者の得意技だと思います。



前述しましたが、この作品の舞台は、孤立した島です。
100年も鎖国をしていれば、独特の文化もあります。
その中でも印象に残ったのが「お墓」です。
この島では、火葬はしません。
土葬したその場所に黒い板を立てるのです。
その板は、死んだときの背の高さ。
その為、墓地には色々な高さの板が刺さっているのです。
特に、その描写は重要でも何でもないのですが、その墓地を想像しただけで、切なくなりました。